FDA対
ユタ・メディカル社

適合していることは、
示せることと同じではない。

ユタ・メディカル社には証拠がありました。すぐに示せなかったのは、どの証拠がどのルールに応えるのか、という点です。その後の争いは4年に及び、同社CEOによれば、弁護士費用は300万ドルを超えました。

同じ証拠に、二つの読み方。
争点は、バリデーションという一語でした。

双方に証拠がありました。食い違ったのは、その証拠が何を示しているかという点です。

グラフや表が並ぶ印刷された報告書をめくる両手。
FDAの読み方 計画された、文書による証明。 工程が、あらかじめ定められた仕様を一貫して満たすことを示す客観的証拠。
病院のベッドの傍らで、手袋をした手が患者の指にパルスオキシメーターのセンサーを装着している。
ユタ・メディカル社の読み方 市場で機能している製品。 患者の健康被害も、製造物責任訴訟も起きていない。

何が、いつ起きたのか。

以下はいずれも公開記録に基づくもので、画像はすべて上の映像から取っています。

  1. 白いトップスを着た妊婦の横からの姿。片手を腰に添えている。

    1987年

    Intran

    ユタ・メディカル社が製造するIntranは、分娩中に子宮内に留置して子宮収縮を測定する子宮内圧カテーテルです。

  2. 5年の使用期限に実時間の有効期間試験の裏付けがないという指摘がハイライトされた、FDAの査察文書。

    2001年〜2004年

    FDAによる監視

    FDAは、cGMPおよび品質システム規則(QSR)への適合状況について、ユタ・メディカル社を監視します。問題とされたのは、裏付けとなる試験データのない5年の有効期間、バリデーションされていない成形工程、そして不良部品をそのまま使用する判断について「科学的な文書もデータもない」と記した品質報告書でした。

  3. 会議室のテーブルを挟み、FDAの担当者2名と企業側の2名が向かい合うイラスト。

    2002年4月

    会議の席で

    米国ユタ州ミッドベールで開かれたFDA調査官との会議で、ユタ・メディカル社のCEOは、自社の分娩監視用カテーテルIntranのスイッチを手に取り、テーブルの向こうへ投げつけました。「これは品質の問題ではない」。

  4. 法廷のイラスト。裁判官が法壇で書面を読み上げ、傍らに米国国旗、その下の席には代理人が着席している。

    2004年8月

    提訴

    米国政府がFDAに代わり、品質システム規則に違反した疑いでユタ・メディカル社を提訴します。

  5. 政府庁舎の前に掲げられた米国国旗。

    2005年

    訴えの棄却

    7日間の審理を経て、ブルース・S・ジェンキンス判事は訴えを棄却しました。「『バリデーション』が鍵となる言葉である」。政府は控訴しませんでした。

  6. 白衣の女性が、明るく長い病院の廊下を歩き去っていく。

    2005年

    代償

    ユタ・メディカル社の勝訴でした。しかし同社CEOによれば、FDAとの4年に及ぶ争いの末、この訴訟に要した弁護士費用は300万ドルを超えました。

この事例が示していること。

ユタ・メディカル社に証拠がなかったわけではありません。むしろ大量にありました。その証拠を検証するのがFDAの職務であり、そうして公衆の安全は守られています。

足りなかったのは、一つひとつの証拠と、それが満たすべき要求事項とのつながりです。早く気づけていれば、何年にも及ぶ高くつく争いを避けられたかもしれません。

機器が市場に出ていることはバリデーションであり、客観的証拠である。機器に関連した患者の健康被害は一件もなく、製造物責任訴訟も起きていないのだから。
21 CFR 820.75が求めるもの 工程がバリデートされている証明
これが示しているもの 長年にわたる市場での実績
Batch Assessment で変わること

規制は変わります。工程が機能すると示す必要は、変わりません。

いまでは、一つひとつの証拠を対応する要求事項に結びつけておくための、eQMSプラットフォームやAIツールがあります。

Batch Assessmentは、その作業を担います。すでにお持ちの記録を登録すれば、AIエージェントがそれを要求事項と一件ずつ照らし合わせていきます。

それをうまく行うには、AIが人と同じように記録を読めなければなりません。表、手書きの書き込み、押印、ハイライト。文書は人の目と頭に合わせてつくられています。だから文書を理解することは、人がどう読むかを知ることから始まります。

クリーンルームで、ヘアネットとマスクを着けた技術者が分析装置のタッチスクリーンを操作している。

要求事項ごとに、判定、証拠、不足。

一つの要求事項について、結果がどう表示されるかを例示します。

架空の例 旧QSR 21 CFR 820.75(a)

プロセスバリデーション:射出成形

判定
  1. 証拠あり
  2. 一部あり
  3. 証拠なし
  4. 対象外
判断理由

長年にわたり市場で安全に使われているが、成形工程が毎回確実に機能することを示す、計画された証明がない。

参照元
  • 成形工程記録 §4
  • 逸脱申請書 §2
不足する証跡

成形工程のバリデーション(IQ・OQ・PQ)

確認ポイント

有効期間の主張:実時間エージング試験がない

※説明のための架空の例です。ユタ・メディカル社やその記録を評価したものではありません。

証拠を、
すぐ示せる形に。
Make proof
easy to show.

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