レギュラトリーサイエンスは、製品の安全性、有効性、品質を評価するための信頼できる方法を開発する研究分野です。具体的には、安全性試験や臨床試験の方法の改善、製品が市場に出た後の監視などを行います。FDAの「Advancing Regulatory Science」ページでは、その役割が説明されています。
日本では、内山充博士が1987年にこの概念を提唱しました。当時、内山氏は現在の国立医薬品食品衛生研究所の前身である国立衛生試験所の副所長を務めており、後に所長になりました。科学の進歩を評価し、その成果を社会に役立てることを重視しました。これは日本における内山氏の役割を示すものであり、英語の用語を世界で最初に作った人物であることまで証明するものではありません。
この分野は、医薬品、ワクチン、医療機器、食品、化粧品、たばこ、動物用医薬品に関わります。関連する研究は、化学物質の安全性評価や環境規制にも活用されています。その対象は、医薬品の承認だけにとどまりません。
積極的に取り組んでいる主な機関には、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)があります。これらの機関は、研究、連携、人材育成を支援しています。
科学全般は、観察や実験、仮説の検証を通じて知識を積み重ねます。レギュラトリーサイエンスは、その中でも規制上の判断に必要な根拠に重点を置きます。例えば、薬がどのように作用するかを発見することは科学的理解を深めます。一方、その薬のリスクを測定する方法の妥当性を確認することは、規制上の評価を支えます。どちらにも厳密な研究方法が必要です。両者が合わさることで、有用な発見を、その利益と害に関するより確かな根拠とともに、人々へ届けられるようになります。
実際にどのような成果があるのか
レギュラトリーサイエンスでは、評価方法を開発し、その信頼性を検証し、規制当局が結果をどのように利用できるかを明確にします。次の3つの例が、その実際の影響を示しています。
- AIによる臨床試験の評価支援: 2025年12月、FDAはAIM-NASHを認定しました。これは、臨床試験で病理医による肝生検の評価を支援するAIツールです。検証研究に基づき、定められた用途での使用が認められました。最終的な解釈は病理医が担います。評価の一貫性と効率の向上が期待されています。
- 研究結果に基づく医薬品情報の更新: 日本では、医療情報データベース「MID-NET」を用いた研究により、ペグフィルグラスチムに関連する血小板減少のリスク上昇が示されました。この結果は、2020年の添付文書の使用上の注意の改訂を支える根拠になりました。承認後の安全対策に、患者の診療データが活用された具体例です。
- 毒性を予測する新しい方法: 2026年6月、FDAはAIを用いた肝毒性予測モデルの提案を認定プロセスに受け入れました。目的は、薬による肝障害の予測を改善し、動物実験への依存を減らすことです。これは評価の初期段階における進展であり、この発表時点で最終的な認定を得たわけではありません。
今後も広がる可能性があります。ただし、その速度は不確かです。EMAと欧州各国の医薬品規制当局は、2025年3月に研究のための連携基盤を立ち上げました。FDAも研究や研修への支援を続けています。こうした取り組みは、新しい技術を信頼できる方法で評価する必要性が高まっていることを示唆しています。